こんにちは、ちょこです。
よくゲームの感想で「テンポが良い」「テンポが良くない」ということが言われますが、今回はUIの視点で「妖怪ウォッチワールド」のバトルのテンポについて書いてみたいと思います。
妖怪ウォッチワールドのバトルですが、難易度に関してはともかく、意外とやることが多くソシャゲにおいては手間が掛かる実装になっています。
オートにした上でユーザーがやることは以下の行動です。
1:バフをかける(お札)
バトル中に自分の妖怪をタップすると、一時的に妖怪にバフを掛けられます。
ある程度育成すればバフがなくても勝てますが、しばしば事故が起きるので一応かけておきたい次第です。
2:デバフを解除(おはらい)
デバフをかけられた時の解除。結構な割合でデバフをかけられます。育成すれば解除しなくても勝てますが、バトルが長引いたりする。
3:珠を取得
バトル中ランダムで流れてくる。取ると報酬にボーナスが付きます。画面を注視するのが面倒だったり、バトルがちょうど終わるようなタイミングで流れて取りこぼすのもストレス。
面倒なので取りたくないが機会損失するのもストレス…。
4:性格調整
妖怪の性格によってAIの行動が変化するのですが、戦略ではなくバトルが長引く要因にもなるのでなるべく狙った性格にしておきたい。
で、オートにしておいたままだと、基本的にはどういう状況になるかというと
バフ、デバフをかけ、デバフの解除もしなければ事故る、という割とテンポの悪いバトルになりがちです。
例えるなら、Lv20くらいのパーティがスライム相手にルカニやバイキルトをかけて攻撃しないバトルが続きます。スライムもスカラやホイミなどを使うので、まぁまぁテンポが悪い…。
ワンパンで倒せるのになんでこんな仕様になってるんだろう…、という気にさせられます。
UIの視点としての感想
UIとして見たときの感想をまとめてみます。
良い点としては、妖怪に愛着が持てる点です。
前衛後衛の入れ替え、バフの付与、デバフの解除など、かなり意図的に妖怪にタップする仕様が盛られています。
デバフの解除などが分かりやすいのですが、10回タップさせないと解除できないんですよね。押しっぱなしではなく連打です。
バフの付与はタップだけではなくホールド操作でも行えます。
「妖怪ウォッチ ワールド」が切り拓く新たな可能性。地方の人や出張族のお父さんがヒーローになれる妖怪探索位置ゲームについてガンホー森下氏に訊く - 4Gamer.net
4Gamer:
バトルの仕様が変わったとのことですけど,日野さんからはどんなコメントをもらったんですか。
森下氏:
「やっぱりみんな妖怪を触りたくなると思う」と言われましたね。だから,妖怪を触って手助けをしてあげる要素を入れています。
4Gamer:
なるほど。それでフルオートではなく,おはらいしたり,妖魂を注入したりできる今の形になったわけですね。
森下氏:
要求する操作はそんなに難しくないようにしていますが,ただ見ているだけで妖怪を倒せるのは最初のうちだけです。これが高レベルの妖怪や,降臨妖怪になってくると,ボーッと見ているだけでは勝てなくなってきますよ。
インタビューからも開発者側の意図的な実装であることが伺えます。
触りたくなる、というのはコミュニケーションを取りたい、と言い換えられるのかもしれません。
人は群れで生活する生き物で、コミュニケーションを取りたがるのが一般的です。
妖怪とコミュニケーションが取れるのはバトル中が主なポイントなので、そういった接触ポイントを設けたかったのかな、と思います。
ですので、接触機会を設けて妖怪に愛着を持ってもらう、という意味では良いUXではないのかな、と思います。
良くない点と感じたのは「誤った単純接触効果」だと感じた点です。
単純接触効果(ザイアンスの法則)とは | ビジネス・心理学用語集:意味・解説など | ビジネス心理学
単純接触効果が逆効果になるのは、第一印象などの早い段階において嫌悪感を抱いてしまったときです。接触する回数が増えるほど、悪い印象がさらに増幅してしまいます。つまり、ファーストコンタクトは非常に重要だということです。
妖怪をタップしたいと思う時もありますが、毎回タップしたいとは思えません。
コミュニケーションを取りたい生き物と言えど、四六時中コミュニケーションを取りたいわけではありません。
ましてや、コミュニケーションを強要されると反発もしたくなります。
一度面倒になるとストレスになってしまいます。
面倒になった後、ユーザーがこれを解決する術としては「バトルをしない」しかなくなってしまいます。
こうなってくるとゲームとしての意味が崩壊してしまいます。
例えば、これの解決策の折衷案として「3匹以上仲間にした妖怪のバトルはスキップできる」などすれば、適度な妖怪とのコミュニケーションも得られ、バトルも億劫にならないのではないのかな、と思いました。