こんにちは、ちょこです。
「妖怪ウォッチワールド」ですが、「ポケモンGO」で言われていた地域格差を埋めようとデザインされている節があります。
具体的には「木を植える」「ヒョーイ」「レイドボスのランキング報酬」などが例として挙げられます。
位置ゲーの地域格差とは
まず、ここで言う位置ゲーにおいての地域格差の認識を揃えておきたいと思います。
人口が集中している地域とそうでない地域、ランドマークや建物の数の差によって、キャラクターやアイテムが獲得できる機会や、育成の進捗に差が生まれることとします。
これはプレイヤー自身が解決できない部分なので、不満を抱かれやすい部分です。
UIと関係あるの?
地域格差とUIやUXって関係あるの?って話ですが、私は関係あると思っています。
なるべく楽しく快適にゲームを楽しんでもらうために解決案を提示するのは開発者の役割です。
アイデアはパート関係なく出せますが、問題解決の軸となるのは良いUXを提供できているかどうかなので、出来る限りUI、UXデザイナーが中心となって担保したい部分です。
妖怪ウォッチワールドでの対策
そんな地域格差の問題ですが、妖怪ウォッチワールドでは対策がなされていることが伺えます。
1:木を植える
その地域に行かないと入手できない妖怪がいるのですが、任意の地域に木を植えることができ、その周辺の地域で捕まえられる妖怪を出掛けなくても捕まえられる機能です。
これにより、自宅にいながら妖怪を集めることが可能です。
2:ヒョーイ
妖怪ウォッチワールドでは、妖怪を集めて戦わせるということよりも、自宅にいながら遠く離れた場所の情報を取得できることをアピールしています。
公式PVのキャプチャです
「ヒョーイ」は他のプレイヤーに妖怪をセットし、そのプレイヤーの移動先まで運んでもらうことが可能な機能です。
移動先に木を植えることも可能であり、木を植えた場所からヒョーイすることも可能です。
要するにヒッチハイクと同じです!
また出かけなくても遊べる、という背景には人の移動範囲は意外と限られている、という背景に由来します。
移動範囲と生活圏に関してですが、自転車での生活圏はおおよそ5キロ以下とされています。
以下の開発者インタビューでも語られていましたが、
「妖怪ウォッチ ワールド」が切り拓く新たな可能性。地方の人や出張族のお父さんがヒーローになれる妖怪探索位置ゲームについてガンホー森下氏に訊く - 4Gamer.net
なんでも人間の日常生活における行動範囲は一般的に5km圏内と言われていて,そんなに遠出しないんですよ。
…とのこと、ネットで行動範囲の調査に関する情報を調べてみましたが、徒歩や自転車といった移動手段の場合は5km圏内、ということなのかな。
(田舎は車社会なので話は変わってきますが、そもそもメインターゲットは小学生なので、一旦車のことは忘れます)
2005年の国土交通省「都市交通における自転車利用のあり方に関する研究」
https://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/pdf/kkk58.pdf
自転車の利用距離が5km弱以下の場合、他の移動手段よりも所要時間が短い結果も得られていることから、自転車の利用実態及び利用の効果の両側面から見ても、5km以下程度の近距離における自転車利用は、他の交通手段に対しても一定の代替効果があることが示されている。
2009年の内閣府「歩いて暮らせるまちづくりに関する世論調査」
歩きは1キロ、自転車は3キロ……普段の生活で行ける距離 - ガベージニュース
普段の生活で歩いて行ける範囲としては500-1000メートルの人がもっとも多く、1000メートル以内で約6割を占めていることが明らかになった。一方自転車では1000-3000メートルの人がもっとも多く、5000メートル以内で7割足らずに及んでいた。
ちょっと脇に逸れましたが「ヒョーイ」によって行動範囲が広がるので地域格差の是正につながる可能性があるのではないか、と思います。
3:レイドボスの報酬設計
最後にレイドボスの報酬設計ですが、地域ごとのランキング報酬があるので、人口が少ない地域ほどチャンスがある実装になっています。
「妖怪ウォッチ ワールド」が切り拓く新たな可能性。地方の人や出張族のお父さんがヒーローになれる妖怪探索位置ゲームについてガンホー森下氏に訊く - 4Gamer.net
市区町村ごとの個人ランキングが用意されているので,人口の少ない地域で参加するほうがプレイヤー個人で豪華な報酬をもらいやすいという見方もできます。
地区によって、このように入賞難易度が変わってきます。上位100位がこちら。
1位 38328865
100位 4661102
1/10とまではいかないにしろ、半分以下の手間で1位が獲得できています。これよりも下位の地区もあるので更に難易度は下がります。
厳密に言えば人口が少ない地域に物凄く強い人もいる可能性もあり得ますが、低い確率になるので無視しても良いのかな、と思います。
まとめ
このように地域格差の是正に対していくつかの工夫がなされています。
「木を植える」は地域限定の妖怪を捕まえやすくするため。
「ヒョーイ」はその地域まで行く手段として。
「妖怪対戦の入賞報酬」は入賞難度を相対的に高低を発生させる。
これで地域格差が無くなったわけではないのですが、対策を取る姿勢が大事だなと思ったのと、UXをデザインする際の参考になればと思い、ご紹介させていただきました。