こんにちは!ちょこです!
このブログでは「ゲームUIを見てみよう!」というテーマでゲームUIを紹介しています。少しでもゲームUIに興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです!
今回は「ロックマンX DiVE」における名前のランダム生成機能をご紹介します。
プレイヤーの名前を入力させるゲームは多くありますが、正直面倒だな、と感じているユーザーもいます。
「ロックマンX DiVE」ではランダムで名前を生成する機能が実装されています。
この機能により以下の特徴があるように感じました。
- ランダムを示すアイコンにサイコロを採用している(メンタルモデルの利用)
- 名前を決めるストレスが減る(決断疲れ)
- あえて悪い選択肢を提示することで名前の入力を選択させる(おとり効果?)
- 他プレイヤーと区別が付きやすい(記号性の担保)
さて、該当の画面はこちらです。
チュートリアル開始前に名前の入力を求められます。
名前の生成はふたつの単語を掛け合わせて生成する仕組みのようです。
サイコロのアイコンをタップすると生成が開始され、気に入る名前が表示されるまで繰り返し生成することが可能です。
アニメーションで見るとこんな感じですね。
ちょっと小さいので大きくしました。
基本的には意味不明の名前が生成されています。
一度決めた名前はゲーム開始後にも再変更可能です。
当たり前と感じるかもしれませんが、やり直しができて便利です。
ランダムを示すアイコンにサイコロを採用している
サイコロとランダムが結びつくデザインが採用されています。
個人的な体感としては中国で開発されているゲームにしばしば見られますが、日本開発のゲームにはあまり見られない印象です。
2021/2/23頃に自身のTwitterアカウントでアンケートを取ってみたところ、63.3%はアイコンの意味が分かっていない結果となりました。
サイコロのアイコンの意味が分かるか?
— ちょこきなこ@ゲームアプリのUIデザイン (@UI42796360) 2021年2月23日
当時の私のTwitterアカウントのフォロワーの多くはゲーム開発者、あるいはデザイナーが多く、一般のユーザーより専門的な知識は多い傾向があると推測します。
その中の63.3%の方が「(サイコロのアイコンの)意味が分からない」と回答しています。
他のアイコンのデザインについて調査はしていないので、この数字が相対的に高いと考えるか、あるいは低いと考えるかは現状は主観によると思います。
ただ、36.7%は「意味が分かる」と回答しているため、一定のメンタルモデルの利用は認められるのかなと考えます。
ちなみに「ロックマンX DiVE」台湾で企画開発、日本監修という座組みであったようなので、国によるメンタルモデルの認知具合の差なのかなと捉えています。
――さっそくですが、本作はカプコン台湾が開発したものを日本で運営するという形でしょうか?
橋本賢一(以下、橋本)元々、台湾で企画開発が始まったタイトルですが、アートワークやキャラのモーションは大阪のカプコンのデザイン室で全て監修していますので、カプコン日本が関わっていないわけではありません。なので、日本版はカプコン台湾と密に連絡を取りながら、日本向けに開発拡充して配信していきます。
名前を決めるストレスが減る
ゲームキャラクターの名前を決めるのが当たり前だと考えている人にとっては意外かもしれませんが、デフォルトの名前や「ああああ」など適当な文字列にする考えのプレイヤーも一定数います。
少なくとも2015年の以下のサイトのアンケート結果ではデフォルトの名前にするのが最も多い回答でした。
回答の中で多かったのは「デフォルトの名前を使用する」でした。その理由としては“ゲームの世界観を壊したくない”などが挙げられています。次いで「自分の名前」や「適当な名前・思いつきの名前」、「普段使っているアカウント名あるいはハンドルネーム」が多いですが、こちらもなるべくゲームの世界観に合わせてアレンジしているようです。
Game*Sparkリサーチ『RPGの主人公、名前は何にする?』結果発表 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト
人の脳は楽を好みます。
そのため、「名前は何にする?」と聞かれた際に、特に判断せずデフォルトにすることを選択しているのかもしれません。
実際、キャラクターの名前は極一部の例外を除き、ゲームの進行には無関係な要素です。ユーザーにとってメリットが無いと判断された場合はストレスの原因になりかねないため、決断疲れを回避する配慮がなされているのかもしれません。
オプションやメニューを選んでもらう際、どれを選択していいのかよくわからない場合もあるだろう。そう言った判断がしにくいものには、推奨プランやデフォルト設定にすることで、ユーザーは意思決定をスムーズに進めることができる。
あえて悪い選択肢を提示することで名前の入力を選択させる
この名前の生成機能ですが、基本的にはゲームの世界観に馴染みが無くあまり良い名前を提案しているようには思えませんでした。
名前に価値を置くプレイヤーにとっては我慢ならないかもしれませんが、チャット欄などで他のプレイヤーの名前も見えるので、ゲームの世界観と切り離して考えることもできます。
あえて悪い選択肢を提示することで、ユーザー自身がそれよりも少しマシだと感じる選択肢に誘導させているのかもしれません。
今回のケースに置き換えると、世界観に沿っておらず「作業用世界」など名前とも言い難い言葉よりも、自分で決めた名前の方がマシである、という考え方でしょうか。
似た心理効果だと「おとり効果」がありますが、他の多くの要素が絡み合って意思決定がなされていると思うので、単純化して考えて良いものではないとも考えています。
参考程度に紹介していきます。
人は、性能や価格の違う2つの商品A、Bで迷っているときに、例えばAよりも劣ることが明確な第3の商品Cを提示されただけで、BよりもAを選ぶようになる傾向があります。
おとり効果とは?ユーザーがつい買ってしまう消費者心理を事例・具体例から解説 | DESIGN α Knowledge
他プレイヤーと区別が付きやすい
ランダムでの名前生成機能のネガティブな側面としては「世界観に沿っていない名前が提案される」という点です。
確かに、提案された名前が世界観に沿った名前であれば、没入感が高まり、ユーザーにとってより好ましい選択肢になったのかもしれません。
ただ、「ロックマンX DiVE」はオンラインゲームである、ということも考慮する必要があると思います。
ネットワークに繋がないオフラインゲームの場合は限られた選択肢から選ぶのも良いのですが、他プレイヤーと関わるオンラインゲームの場合、デフォルトから名前を決めるユーザーが多いことを考慮すると、同じ名前のユーザーが大量に生まれます。
そうなると、名前の持つ記号性が失われ、プレイヤー同士の区別が付きにくくなります。特に離脱の激しい低レベル帯は同じ名前のプレイヤーで溢れることが想像に難くありません。
オンラインゲームの場合、ランキング画面、チャット欄、ギルドなど他のプレイヤーの名前を目にする画面はしばしばあります。
記号性が失われるとユーザーにとっても不便に感じる場面があるかと思います。
世界観の没入に関しては、同じ名前のプレイヤーが大量発生したり、他プレイヤーが自由入力できる情報であるため、ある程度割り切った判断をせざるをえず、そこまで優先度の高い情報でもないのかもしれません。
まとめ
まとめると「ロックマンX DiVE」の名前のランダム生成機能について感じたことは以下の4点です。
- ランダムを示すアイコンにサイコロを採用している(メンタルモデルの利用)
- 名前を決めるストレスが減る(決断疲れ)
- あえて悪い選択肢を提示することで名前の入力を選択させる(おとり効果?)
- 他プレイヤーと区別が付きやすい(記号性の担保)
他にも気付いた点があれば、コメント欄にて教えていただけると嬉しいです。
以上です。
名前を入力する画面をデザインする際の参考になれば幸いです。
このブログではこのようにゲームUIついて簡単にまとめて紹介しています。
他のゲームUIも紹介しているので、もし良かったら他の記事も見て行っていただけると嬉しいです。
権利者さまへ
以下はコンテンツ利用に関する認識の説明です。
「ロックマンX DiVE」のガイドラインを確認したところ、権利者のカプコン公式HPにて、SNSやwebサイトへのゲーム画像の投稿は許諾されている旨の記載がありました。
カプコンのゲームの画像を動画サイトやSNS・個人サイト等に掲載してもいいですか? (著作物に関するQ&A) | 株式会社カプコン : サポート
主な参照箇所を抜粋します。
ご自身で撮影されたゲーム映像のスクリーンショットに関しては、動画投稿のガイドライン(カプコン動画ガイドライン)に沿った内容であれば、使用していただくことが可能です。
以下は上記のQ&Aにて示されているリンク先の画面のキャプチャです。
主な参照箇所を抜粋します。
【投稿できるもの】
- PCのキャプチャーボード・PCソフト(Steamクライアントを除く)など、ゲーム機やゲームの機能以外を使用する場合は、「ご自身がプレイした映像を編集する」「ご自身のコメントを付ける」など、ゲーム映像に独自の付加価値を付けたもの
【投稿できないものの主な例】
- 感想や意見などを付けずに、スクリーンショットのみ掲載したもの
4:タイトル個別でガイドラインを設けているタイトルはありますか?
現時点では、ございません。
10:ガイドラインの対象になるゲームソフトは何ですか?
機種にかかわらず、カプコンから発売されているゲームソフト(ゲームアプリも含む)全てが対象です。
画像利用、記事の内容について問題がありましたら、お手数ですがご連絡ください。
速やかに対応いたします。