こんにちは、ちょこです。
今回はアドベントカレンダーの企画用の記事です。
Game Graphic Design Advent Calendar 2019 - Adventar
いつものゲームUIレビューではなく、UIの役割、大切さをラーメンを使って説明します。
ラーメンを通じてUIのことを知っていただければと思います。
- 第一章「こんなラーメン屋さんは嫌だ!」
- 第二章「YOUは何しにラーメン屋に?」
- 第三章「美味しく食べてもらうためにはみんなの協力が必要」
- 第四章「どういうラーメンにしたら良いの?」
- 最終章「ラーメンのUIに学ぶゲームのUIで足りないこと」
第一章「こんなラーメン屋さんは嫌だ!」
早速ですが、聞いてください。
先日、友人にオススメされたラーメン屋さんに向かっていました。
友人曰く、とても美味しいラーメンだそうで、楽しみにしてました。
店に着き、店内に入ると案内もなく店員は忙しい様子で私には気付きません。
若干、イラっとしましたが、仕方なく私は空いている席に座ることにしました。
どんまいどんまい、切り替えていこう。
と、思い耽り座ると今度はテーブルとイスの高さが合っていないことに気付きます。
これ地味に嫌なヤツです。
人の机に座ったらイスの高さが合っていない違和感!みたいな!!
さらによく見ると先客の食べ残しでテーブルの上には食べカスが残ったままです。
怒涛かよ…!
すこし残念な印象を持ちつつ、気を取り直してメニューを頼もうと店員を呼びますが、やはりここでも気付きません。
もしかして、
我、歓迎されていないんですかね。
水面下で心砕けそうになりつつも、何度か呼んでようやく気付きました。
私は友人にオススメされた「しょうゆラーメン」を頼みました。
雑誌か何かで取り上げられたのか、私の後にも人はたくさん入ってきます。
ふと厨房に目をやるとしょうゆラーメンが出来上がったようです。
そのまま私のところに運ばれるのかと思ったのですが、私より後に入った方のところに運ばれて行きました。
運ばれていったラーメンを見送りつつ、有料会員と無料会員のアレみたいだな、と感じました。
私は店員に一言伝えると、店員は軽く謝り「すぐに持ってきます」と返しました。
その後、いくつかのアプリのデイリーミッションをクリアしなんやかんやして、結局40分ほど経ったのですがラーメンは届きません。
再度店員に確認しました。すると「オーダーが通っていなかった」とのこと。
店員は再度謝り、程なくするとしょうゆラーメンが運ばれてきました。
良かった、ここでオーダーミスして味噌ラーメンが運ばれてきたらどうしようかと思いつつ、箸を手に取りました。
すると、どの箸もひどく汚れており、油も付いたままでした。
指先が汚れてしまったので、おしぼりを貰おうと頼んだのですが、この店にはおしぼりがなく、ティッシュも丁度切らしてしまったところ、とのこと。
少し長くなりましたが、まとめると、
テーブルとイスの高さが合っておらず、疲れる姿勢のまま汚れたテーブルと箸でラーメンを食べることになりました。
確かにラーメンは美味しかったのですが、私は二度とそのお店に行くことは無いと思います。
以上がラーメンにおけるUI、UXです。
UIの意味合いや大切さが少し分かっていただけたでしょうか?
ラーメンがどれだけ美味しくてもUIが悪いと全体の評価が下がります。
★1の評価です。
ちなみにこのラーメン屋さんは創作です。流石にこのコンボは見たことない。
第二章「YOUは何しにラーメン屋に?」
「YOUは何しにラーメン屋に?」と問えば「ラーメン食べに来たに決まっとるやろがい」と返されると思います。
そこに「快適にラーメンが食べれる」という付加価値をもってラーメン屋さんに来る人は稀です。
それは快適さは備わっていて当然の要素だからです。
ゲームでも同じことが言えます。
UIの快適さは担保されているのが当然です。
ゲームアプリのUIであれば、例えば文字が見やすかったり、学習コストが低かったり、ボタンが押しやすい位置やサイズであることだったり。
極力余計なストレスをなくし、ゲームを楽しむことだけに注力することが求められています。
ユーザーの目的に沿った実装が求めら、相反する実装はすべてユーザーのストレスになります。
第三章「美味しく食べてもらうためにはみんなの協力が必要」
さて、ラーメン屋に話を戻します。
お客さんの目的が「ラーメンを食べること」だとすればラーメン屋の目的は何でしょう?
「お客さんに美味しいラーメンを食べてもらうこと」でしょうか?
それも正解だとは思いますが、個人的には
「お客さんにラーメンを美味しく食べてもらうこと」だと考えます。
この「美味しいラーメンを食べてもらうこと」と「ラーメンを美味しく食べてもらうこと」は大きな違いがあります。
似てるんですけどね。
どういった違いかと言うと…
「美味しいラーメン」は店側が思う「美味しい」です。
そこにお客さんは居ません。
これに対して「美味しくラーメンを食べてもらう」は、あくまでお客さんが主体になっています。
どうやったら美味しく食べてもらえるか、は相手次第なので、その為にあらゆる角度で常に最適解を考えます。
また、「美味しいラーメン」はラーメンだけで完結しています。
「美味しく食べてもらう」に関してはそれに携わる全ての事柄が対象です。
たとえば、箸やレンゲなどの食器、テーブルや照明などの環境、メニューや価格といった判断材料、接客する人の服装や態度、ラーメン屋の立地や店構え、歩きやすい導線、お店の独自性を出すための拘りと他店との差別化、行列が出来ている場合は回転率が良いかなどなど。
それに留まらず湯切りや配膳といった部分にエンタメ感を出すお店もあります。
これらすべてがラーメンのUI・UXです。
ゲームのUIもこれと同じことが言えます。
たとえば、ゲームグラフィック、モーション、サウンド、ボイス、音量、演出、シナリオ、世界観、カメラ、ゲームテンポ、バグの量、読み込み時間の長さなどが挙げられます。
ですが、これらが良い場合は「美味しいラーメン」止まりです。
「美味しく食べてもらう」ためには、更に…
広報、ライター、法務、知財管理、カスタマーサポート、パッケージデザイン、販促、流通、ブランド。
加えて海外展開をするなら…
ローカライズやカルチャライズに対応するために、現地のスタッフの活躍も欠かせません。
また近年は、ユーザーコミュニティの管理、というのも美味しくラーメンを食べてもらうための要素として挙げられます。(お店で言うと分煙とか禁煙とか)
これらすべてが良い状態で初めて「お客さんの美味しくラーメンを食べてもらう」ことが実現できます。
ですので、
美味しくラーメンを食べてもらうためには、すべてのスタッフの方の力が必要なのと、お客さんのサポートも重要になってきています。
第四章「どういうラーメンにしたら良いの?」
「OK。わかった。協力しよう。」
みんなで「お客さんに美味しくラーメンを食べてもらおう!」と認識を合わせました。
次に重要なのは
・具体的なゴール
・優先度
の共通認識を持つことです。
例えば…
「ラーメンに重要なのは麺です。つまり小麦に徹底的に拘ります!」
「最適な小麦を作るため、品種改良からやるべきです!」
と、麺担当者が提案し…
「お客さんの様子をみて、味を調整する可能性がある」
「味はスープで決まる。スープにコストを割く方が優先度が高い」
と、スープ担当者が唱え
「もっと俯瞰的に見るべき。」
「まずどういったコンセプトで営業するのか決めないといけない」
と、コンセプト大臣が訴え、
「議論するだけ時間の無駄!」
「最も重要なのはお客さんの声!!」
「さっさとオープンしてお客さんの感想を元に試行錯誤すればいい!!」
「無駄は嫌いなんだ!無駄ァ無駄ァ!」
と、出資者が叫ぶ。
など…など……。
上記は例ですが、立場や業務範囲や責任が違った人間ですので、各々の視点によって優先度が変わります。
デザイナーの優先度、プログラマーの優先度、プロモーションの優先度、それぞれの尺度があり、それぞれに理があります。
ですので、
まずは目的を決め関係者の認識を合わせた上で、それぞれの視点からその目的に対して必要だと思う選択肢を挙げ、取りまとめ役が優先順位を振り分けて対応する。
そうすると自ずと良いUI・UXになります。
個人的には…
・各画面で何を見せたいのかを明確に決めること
・ゲームをテンポよく見せること
・UIのアンチパターンの根絶
を中心に対応を検討したいのですが、進行停止バグなどさらに優先度の高いものがあれば、そっちの解決を優先も仕方ないのかな、と思っています。
UIは重要ですが決して至上命令ではない、ということを見失わないように注意が必要です。
最終章「ラーメンのUIに学ぶゲームのUIで足りないこと」
まとめです。
良いUIが担保されれば絶対に人気ゲームになるとは限りませんが、ゲームの魅力を伝えることには繋がります。
また、UIの表現の幅やクオリティは上がってきているため、手を抜くとユーザーに簡単に見破られてしまい、ゲームのクオリティや開発者の姿勢や技術力などの信頼を失うことに繋がりかねません。
なので、対応の優先度は高まっているのですが、
今のUIの定義とその範囲を見ていると、UIデザイナーだけですべての要素のUIを担保することは現実的ではありません。UIは決してUIデザイナーだけのものではありません。
逆に言うと、各自がUIに関して関心を持ち、対応することで、UIのクオリティを担保することが可能だと考えています。
そのためにはチームとして、目的と手段、その優先度の認識を合わせることが欠かせません。
その上で、各々の視点での提案と実装への相互サポートも本当に重要です。
今後、良いUI・UXがユーザーに提供できるかどうかはUIデザイナー以外のモチベーションにかかっていると断言できます。
ですので、みんなで一緒にUI・UXに関して話し合えれば良いなと思います。
以上です。
今回、非デザイナー向けの記事として書かせていただきましたが伝わったかなー…。
これを読んでUIに興味を持ったり、UI改善のサポートをしたいと思っていただけたら幸いです!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。