ゲームアプリのUIデザイン

プレイしたゲームアプリのUIデザインに関して書き残します。毎日頑張って更新!

「アークナイツ」既存のメンタルモデルをリセットし、世界観を前面に出した図鑑画面

こんにちは、ちょこです。 

 

「アークナイツ」の図鑑画面のデザインが気になりました。

 

まず「図鑑画面」と聞いてどういった画面を想像しますか?

キャラクターの情報が五十音順に並ぶリストのようなデザインでしょうか?
それともアルバムのようにサムネイルが並ぶデザインでしょうか?

 

アークナイツの図鑑画面のデザインはこちらです。

 

どん!

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動きを紹介するとこんな感じです。全方位にスクロール可能です。

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キャラ詳細の遷移もシームレスに行えます。

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如何でしょうか?


おそらく想像していた図鑑画面とは違うんじゃないかな、と思います。

 

多くの方が想像する図鑑画面ではなく、いわゆる組織図や相関図に近いデザインになっているのが特徴的です。

 

このUIを考察してみます。

 

そもそも図鑑の目的って?

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見て分かる通り、アークナイツの図鑑画面の特徴として既存のメンタルモデルを利用していないことがあげられますが、そもそもソシャゲにおける「図鑑画面」の目的ってなんでしょう?

 

日本のソシャゲに関しては「コンプ状況を把握するため」であることかな、と思います。

 

元々コレクション要素から発展していましたし、図鑑ボーナスの仕様なんかはその名残りです。(※特定のキャラを集めたり、図鑑の埋まり具合でインセンティブが獲得できる仕様。今はコンプガチャの規制により自粛するのが一般的)

 


今はそういったインセンティブがないので、図鑑にアクセスするモチベーションはなく、必然性も失われています。

図鑑に残っている目的としては「キャラクターの詳細が見れるので、世界観を知ることができる」が主になるのかな、と思います。

 

このデザインの目的は?

先ほど「キャラクターの詳細が見れるので、世界観を知ることができる」が図鑑のメリットであると述べました。

では、その目的があることを意識してアークナイツの図鑑のデザインの特徴を挙げてみたいと思います。

 

1:重要人物は大きく表示

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画面の中で他より大きく表示されているキャラクター群があることに気付くかと思います。

 

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こちらです。

 

これは主人公と主人公に近しいパートナーです。

 

この世界の中心に据えるのはプレイヤー自身です。

全員が同じサイズで表示されていると情報の優劣がなく、目が泳いでしまうことが予想されます。

また、大きく表示されているキャラクターがいると、それが重要なキャラクターだと認識されます

 

こういった意図でキャラクターの表示サイズに差異を設けているのかと思われます。

 

2:関係性が分かる

世界観を知る上で、キャラクター同士の関係性が分かることも大切です。

全体表示から任意のキャラを選択した場合、そのキャラを中心にした人間関係が表示されます。

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上の方で紹介したこれですね。

 

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シナリオが進み、登場キャラが増えてくると繋がる線も増えるので、どこまで繋げるのかは気になるところ。

 

3:その他の特徴

その他の特徴として…

  • 開発側の都合で考えると、日本語版でも簡体字版でも五十音順に並べることをしなくて管理が楽
  • 規則的に並べるといかにも無機質に見えるが、不揃いに配置することにより有機的なデザインに見える

なども挙げられます。

 

デメリット

メンタルモデルがリセットされている中で、このデザインのデメリットを考えるのですば…

  1. 迂闊に人物が追加できない
  2. 人気が出てもフォーカスしづらい

 

という事柄が考えられます。

とはいえ、そもそもキャラクターではなく世界観を売り出しているので、運営側が売りたいキャラクターを活躍させたり、魅力的に見せたりしてコントロールすれば問題ないのかな、と思います。

 

まとめ

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このデザインからは過去のメンタルモデルを一度リセットして、新しいユーザー体験を提供する意図が感じられます。

 

 

「図鑑」という単語から単に「現実に存在する図鑑」を想像していましたが、
「ゲームにおける図鑑の役割」という視点で考えたことはありませんでした。
知らない間に機能の本質的な目的を忘れ、「図鑑とはこういうものだろう」と思考停止に陥ってたのは反省すべき点だと感じました。

 

まだアークナイツをプレイしていない方は「機能の本来の目的」という視点でプレイしてみると色々と発見が得られるかもしれません。