こんにちは、ちょこです!
今回、私が購入した書籍の中からゲームUIデザイナーさん向けに紹介する書籍はこちらです!
「レタースペーシング タイポグラフィにおける文字間調整の考え方」
図も豊富な190ページ
ゲームUIデザイナーのみならず、UIデザイナーでもお世話になる文字詰め。
そういった文字の読みやすさを専門的に扱った書籍です。
概要はこんな感じです。
- スペーシングの観点から見た時の文字の特徴
- 欧文のスペーシングのコツ
- 和文のスペーシングのコツ
- 和欧混植のスペーシングのコツ
- 有名企業のロゴを実例にスペーシングの解説
190ページ程度あり、見開きの左ページが文章、右ページが図説になっています。比較的ニッチな分野の書籍の割には十分なボリュームかと思います。
図も豊富で分かりやすい構成です。概要だけ把握したいときは図説だけ拾い読むだけでも復習になりそうです。
レタースペーシング≠カーニング
本のタイトルにもなっていますが「レタースペーシング」という耳慣れない言葉が気になりました。
書籍内では「レタースペーシング」について以下のように定義されています。
見出しやロゴタイプなどの文字の間隔を視覚的に均等に見えるように調整する作業
カーニングと同じ?と思うかもしれませんが、この書籍を読むにつれ「文字の間隔を視覚的に均等に見えるようにする作業」とカーニングは同一ではない、ということが理解できてきました。
例えば文字を変形させることで間隔が均等に見えるというケースも紹介されています。
特に「MEVIUS」のロゴタイプの事例は個人的には面白いと感じました。
Eの下の線をやや長くして、EVの間が気にならないように調整している、という事例です。
文字を移動させて文字の間を詰める考え方ではない、という点でレタースペーシング≠カーニングという話がより分かりやすく感じました。
また、背景の色が黒く文字が白い時と、背景の色が白く文字が黒い時とでは膨張色の関係で見え方が変わる話も面白いです。ましてやフォントによって白抜き用が用意されていることは初めて知りました。膨張色の錯覚は知っていますが、文字詰めする時に意識的にできていなかったようには思います。
文字詰めに限らず、単語や文章の読みやすさ、意図の伝達に繋がる工夫の話だと感じました。
カーニングの視野が広がる
カーニングのことについても触れていますが、これが正解だ!という類の伝え方ではありません。筆者が得てきたコツを言語化して教えてくれている、という捉え方でいた方がデザインの自由度が高まる気がします。
レタースペーシングという考え方を通じて、カーニングに対する視野は広がると思います。また、かなり細かい点を見ているため、文字の組み方に対する解像度は上がると期待できます。
恐らく、読み進めていく内に文字の特性を理解し、カーニングをする際に少しでも意識するようになっていくはずです。結果的にカーニングのスキルは上達するとは思いますが、それは読み手なりに内容を咀嚼し、各々のカーニングの哲学を手に入れた故だと考えます。
ぜひ手元に欲しい一冊
レタースペーシングについて専門的に取り扱った書籍はあまり多くはなく、この先も出版されるか分かりません。
知識云々はもちろんのこと、読み物としても興味深いため、知識欲が高まる一冊です。ぜひ手元に置いてほしいと思います。
参考文献が多い
最後になりますが、この本は参考文献が多い。逆に言えばこれだけ色んな書籍に散っていた情報を1冊にまとめたことが本当にすごいと感じます。
自分用のメモとしても残しておきますが、レタースペーシングについてさらに知りたい方は参考書籍を当たってみるのも良いかな、と思います。
- 工場必携シリーズA4 欧文活字 1948
- 英字のデザイン 1954
- 文字のデザインシリーズ2 ひらがな上 1964
- 欧文活字とタイポグラフィ 1966
- 明朝活字―その歴史と現状 1976
- 文字をつくる―ナール生みの親が公開する.文字デザインの原理とその実際 1977
- やさしいレタリング 1977
- ゴシック系3書体 (レタリング資料集 2) 1981
- レタリングエッセンス―文字デザインの基礎から創作まで 1982
- Controlling Spacing 1988
- 欧文組版入門 1989
- タイポグラフィの読み方 (新デザインガイド) 2000
- ローマ字印刷研究―紀田順一郎セレクション (HONCOレアブックス) 2000
- Optical Letter Spacing 2001
- 日本語のデザイン (新デザインガイド)
- 横書き登場―日本語表記の近代 (岩波新書 新赤版 863) 2003
- 欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド) 2005
- Designing Type 2005
- 日本語活字ものがたり―草創期の人と書体 (文字と組版ライブラリ)
- 欧文組版 組版の基礎とマナー (タイポグラフィの基本BOOK) 2010
- タイポグラフィの基礎―知っておきたい文字とデザインの新教養 2010
- 文字の組み方―組版/見てわかる新常識 2010
- タイポグラフィ・ハンドブック 2012
- Typography Issue 02 2013
- 欧文タイポグラフィの基本 2014
- カウンターパンチ 16世紀の活字製作と現代の書体デザイン 2014
- The Eternal Letter: Two Millennia of the Classical Roman Capital (Codex Studies in Letterforms) 2015
- もじ部 書体デザイナーに聞く デザインの背景・フォント選びと使い方のコツ 2015
- 祖父江慎+コズフィッシュ 2016
- 文字を作る仕事 2016
- Type Tricks: Your Personal Guide to Type Design 2017
- 味岡伸太郎 書体講座 2018
- [改訂版]ディテール・イン・タイポグラフィ 読みやすい欧文組版のための基礎知識 2019
- 欧文書体のつくり方 美しいカーブと心地よい字並びのために 2020
以上です。
他の書籍も以下にまとめています。良かったらこちらもご覧ください。