こんにちは、ちょこです。
このブログでは「ゲームUIを見てみよう!」というテーマでゲームUIを紹介しています。少しでもゲームUIに興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです!
ここでは過去プレイしたゲームをもとに、サーバー選択画面のUIについてまとめました。サーバー選択画面をデザインする際の参考になれば幸いです。
以下、目次です。
設計
サーバー選択画面に限りませんが、見た限り画面デザインに重要なのはユーザーが判断するコストを抑えることだと感じました。ユーザーが迷わないようにするために多くのゲームで様々な工夫が見られました。
以下、要素ごとにまとめました。
1:おすすめサーバーを表示する
サーバーが複数ある場合、おすすめサーバーを表示しユーザーを迷わせないようにするデザインがあります。個人的には古典的なデザインのひとつかな、と感じています。
おすすめサーバーを表示しているゲームの事例は以下です。
「おすすめ」といったラベリングやタブ分けがされています。
2:デフォルトでおすすめサーバーを選択しておく
運営がおすすめするサーバーをデフォルトに設定する考え方もあります。
開発者であれば当然のように実装しているため、殊更に取り上げられるものでもなさそうですが、事例として言語化しておきます。
通常、ユーザーに不都合がなければデフォルトの設定のままサーバーが選択されます。
これは「デフォルト理論」を利用した考えです。
デフォルト効果 (Default Bias) とは 意味/解説 | UX心理用語 - 松下村塾
デフォルト効果(Default Bias)とは、人は選択肢がある場合、変更するインセンティブが魅力的でない限り、提示されたデフォルトの値にとどまることが多い現象を指します。
3:おすすめサーバーで始めるとインセンティブが獲得できる
おすすめサーバーでゲームを始めると報酬が獲得できるゲームもありました。
おすすめサーバーでプレイするメリットをユーザーが目に見える形で伝えているため、非常に強く誘導していると感じました。
インセンティブを表示しているゲームの事例は以下です。
- 「V4」
▲文言だけではなくグラフィックでも伝えている点が強力
4:サーバーの状態を表示する
サーバーの状態を表示し、ユーザーがサーバー選択する際に、判断の手掛かりにしているゲームもありました。
以下はゲーム名とサーバーの状態の分類をまとめた表です。
ゲームタイトル | サーバーの状態 |
大人気・人気 ・通常・メンテナンス中 | |
人気 ・正常 ・メンテ | |
満員 ・盛況 ・標準・メンテナンス | |
混雑 ・快適 ・メン | |
混雑 ・満員 ・正常・メンテ中 | |
混雑 ・ビジー・快適・メンテ | |
多い ・普通 ・少ない | |
(円滑かどうかだけ表示) | |
(応答速度を表示) | |
(表示なし) |
タイトルによって表現は微妙に異なりますが、「快適」「正常」など、比較的主観的な評価を表示しています。
様々な表記があるので何が適切か考えてみたのですが、個人的には「混雑・快適」よりも「人気・盛況」という表現の方が適切かなと感じました。
以下、補足します。
- 「混雑」よりも「人気・盛況」の方がサービスに支障がなく、ポジティブな印象を受けるため
- 快適にプレイできるかどうかはゲームシステムやユーザーの環境によって左右されることも考えられるため
- 人によって「快適」の程度が異なるため、同じ環境でもユーザーAは快適、ユーザーBは不快と感じるなど、認識に齟齬が生まれる懸念があるため
このような考えから、ここでは開発側の一方的で曖昧な評価を元にプレイするサーバーは判断にくく感じました。
そこで、「人気」といった、あくまで賑わいなどゲーム内の雰囲気を伝える程度にするのが無難なのかな、と考えました。
5:サーバーの応答速度を表示する
サーバーの応答速度を表示しているゲームもありました。
快適なプレイの根拠を数字で客観的に示しているのが特徴的だと感じました。
基本的にはプレイする場所とサーバーの設置場所が近いほど応答速度が速いとされています。どの程度速いかは、端末の性能やユーザーのネットワーク環境によって変化する可能性も考えられます。
ミリ秒の操作が常に求められたり、サーバーとの通信が頻繁なゲームだと重視される情報かもしれません。
以下は応答速度が表示されているゲームです。
- 「FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER」
応答速度が表示されています。
6:サーバーが統合された場合の見せ方
サーバーが統合される運用が前提の場合、記号的なサーバー名を表記した方が分かりやすい可能性があります。
例えば、サービス開始前からサーバーを統合することが予定されているのに、サーバー名を地名にした場合、世界観を損なう懸念があります。
サーバーを統合する予定があるなら、番号など記号的に表現するほうが開発側、ユーザーともに扱いやすいかもしれません。
以下はサーバーの統合があるゲームです。
- 「三國志 覇道」
サーバーが数字で管理されています。
7:サーバー内のキャラの情報を表示する
サーバー内のキャラの情報が簡易的に見れるゲームもありました。
サーバーとキャラクターを紐付けでプレイするゲームの場合、複数サーバーでプレイすると、どのサーバーでどのような育成をしていたか分からなくなる状況が懸念されます。
キャラの情報が簡易的に見れることで、サーバー選択時の手掛かりにでき、迷いにくくなると感じました。
- 「鋼の錬金術師 MOBILE」
プロフィール画像とレベルが表示されています。 -
「聖闘士星矢ライジングコスモ」
プロフィール画像とレベルが表示されています。
8:これらを表示しないゲームもある
色々と紹介してみましたが、これらの情報が絶対に必要という意味ではありません。何が最適かは個別の事情によると考えます。
例えば「崩壊:スターレイル」では、アジアか北米かなど、大まかな地域を選択するだけのデザインになっています。
表示する情報や選択肢を少なくすることで迷わせない、という引き算のデザインを採用する考え方もあるかと思います。
▲「崩壊:スターレイル」のサーバー選択画面
グラフィック・テキスト
次に、ゲームの世界観をグラフィックやテキストなどのビジュアルで表現するデザインについてまとめました。
世界観をビジュアルで表現することで、ゲームの没入感を高められると考えます。
1:IPの場合、作中の地名をサーバー名にする
有名IPの場合、作中の地名がサーバー名に採用されていました。
その際、若いサーバーはストーリー序盤の地名が採用されていました。サーバーが増えるごとに後半の地名が登場するため、時間経過とともに物語が進んでいく感覚にもなりました。
ファンサービスな視点であり、有名IPならではのデザインだと感じました。
以下は該当のゲームです。
- 「鋼の錬金術師 MOBILE」
作中の地名が採用されています。 -
「聖闘士星矢ライジングコスモ」
作中の地名が採用されています。
オリジナル作品や地名がない場合、ゲーム内や世界観ゆかりの固有名詞を採用することもあります。以下は該当のゲームです。
- 「陰陽神鬼」
妖怪の名前が採用されています。 -
「カウンター・アームズ -終焉武装少女-」
星座を構成する星の名前が採用されています。 - 「V4」
ゲーム内の固有名詞が採用されています。 - 「Food Fantasy フードファンタジー」
ゲーム内の地名が採用されています。 -
「ブラック・サージナイト」
ゲーム内の地名が採用されています。
2:メンテナンス中や準備中などの状態も考慮する
新規リリース直後はサーバーが少なく、画面に空きが多い状況になるかもしれません。
そこで、空きスペースに準備中のサーバーがある旨を表示し、ユーザーの期待感を煽るゲームもあります。
その際「サーバー準備中」と表示しても良いかもしれませんが、より期待感を持たせるために「お楽しみに」と表記するタイトルがありました。
サーバーの状態を示すという意味では曖昧な表現かもしれませんが、面白い表現だと感じました。
- 「ブラック・サージナイト」
空きスペースに「お楽しみに」と表記されています。
3:サーバーのアイコンに世界観を含める
かなり稀有な例ですが、サーバーのアイコンに世界観を含めたグラフィックを採用するデザインがありました。
例えば、サーバー名が地名の場合、地名のグラフィックを表示すると、テキスト内容とグラフィックが一致し、一貫性があるように感じました。
-
「Stormfall: Rise of Balur」
土地のアイコンが採用されています。 - 「Food Fantasy フードファンタジー」
食べ物のアイコンが採用されています。
4:混雑状況を示すグラフィックに世界観を含める
多くのゲームではサーバーの混雑状況をランプのように点灯し、色で区分しています。
稀にそのランプに世界観を加えたデザインを採用するタイトルもあります。
かなり特殊な例ですが、ゲームの方向性や規模によっては取り入れやすいのかもしれません。
- 「陰陽神鬼」
三つ巴の文様が採用されています。
5:色情報だけに頼らない
混雑状況を示す際、できれば色情報だけに頼らない方が良いと考えます。
色弱の方からすると、赤と緑は特に見分けがつきにくい色です。
もし混雑状況を色だけで表すのが難しいと感じた場合、テキストでも表記すると安心かと思います。
以上です。
サーバー選択画面をデザインする際に参考になれば幸いです。
このブログではこのようにゲームUIついて簡単にまとめて紹介しています。
他のゲームUIも紹介しているので、もし良かったら他の記事も見て行っていただけると嬉しいです。